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2024年7月29日

実は難しいアルツハイマー型認知症の早期診断
その物忘れ、認知症?年なり?

物忘れがあると、すぐに認知症の始まりだと言うことありませんか?
実は初期アルツハイマー型認知症の診断は意外と難しいのです。

以下の経験ありませんか?

  1. 1.同じ質問、話をする
  2. 2.置いた場所、しまった場所を忘れる
  3. 3.蛇口、スイッチ、ガス栓の締め忘れ
  4. 4.今何をしようとしていたか分からない
  5. 5.日付、曜日が分からない
  6. 6.猜疑心、依存傾向、怒りっぽい
  7. 7.とんちんかんな応答
  8. 8.辻褄を合わせようと作話
  9. 9.少し複雑な話は理解できない
  10. 10.長年の趣味をやめた、外出しない、物事に対する興味関心の喪失

 

次の経験はどうですか?

  1. A.薬の管理が出来ない
  2. B.ATMで出金できない
  3. C.お金の支払いで小銭を使わない
  4. D.電車やバスを利用して目的地にたどり着けない
  5. E.会話の流れについて行くことが出来ない

 

前段(1〜10)と後段(A〜E)の違いが分かりますか。
前段の症状があっても、基本的な生活機能が正常な場合は認知症とはいいません。
軽度認知機能障害(MCI)と診断されます。
いわゆる「良性の物忘れ」「年なりの物忘れ」です。
後段の症状はどうでしょうか。
これらは複雑な日常生活動作(これを道具的日常生活動作能力といいます)に問題のある状態で、認知症の初期と診断されます。
両者の区別難しくないですか。
薬を度々飲み忘れたら認知症か、曜日を分からないときがあるけどMCIでいいのか、基本的な生活機能って何だと突っ込まれそうです。
それでは認知症の実際の診断はどうするか。
簡単には簡易知能評価スケールを利用します。
例えば長谷川式では満点が30点ですが、22点から26点までをMCIと診断します。
点数だけでなく答えの内容、生活内容も考慮に入れます。
MCIは、年間15%は認知症に移行しますが、20%は改善します。
長生きすれば、大なり小なり認知機能は低下します。
誰でもが通る道です。

物忘れをすぐに「認知症だ」と速断しないでくさいね。