Blog

2024年6月19日

認知症について

しばらく認知症についてお話しさせて頂きます。
認知症といっても、色々あります。
認知症というのは、認知機能が低下した状態で、いわゆる病名ではありません。
70%近くがアルツハイマー型認知症、20%が血管性認知症、他にレビー小体型認知症が5%、前頭側頭変性症が1%と続きます。
頻度は少ないですが、このほかにも60種類近くの認知症があります。
ブルースウイリスが、前頭側頭変性症と発表したことで、この病気の名前をご存じの方も多いかと思います。(このことについては追ってお話しします。)
認知症として一番多いアルツハイマー型認知症の原因については、アミロイド仮説が現在最も信じられています。
神経細胞周囲にアミロイドβという物質が蓄積されます。
これが老人斑といわれます。
蓄積したアミロイドβが神経細胞に影響して、細胞内にタウという物質がたまります。
このタウが神経細胞を徐々に消失させ発病します。
アミロイドβが出現してから、発病するまで20年以上かかるといわれています。
アミロイドβの蓄積を早期に減らせば発病しないだろうということで、アミロイドβを対象にした研究開発が進んでいます。

アミロイド仮説に従えば、正確にアルツハイマー型認知症を診断するには脳内アミロイドβの存在を証明しなければなりません。
ただ脳内アミロイドβを調べるには、アミロイドペットという検査が必要です。
この検査は保険適応なく、自費で約25万円です。
アルツハイマー型認知症を正確に診断するのは意外に難しく、アルツハイマー型認知症と診断された患者さんの25.1%はアミロイドβが検出されなかったという報告があります。
外来でアルツハイマー型認知症と診断された方の4分の1がアルツハイマー型認知症ではなかったのです。
ではすべての方にアミロイドペット施行すればいいかというと、これも大変です。
神奈川県にはアミロイドペット施行できる病院は12しかありません。
しかも一日に出来る人数も限られています。
何万何十万といわれる認知症患者さんにアミロイドペット施行することが、現実的でないことがおわかり頂けると思います。

認知症の診断は一番多いアルツハイマー型認知症でさえ意外と難しいというお話ししました。
これから、色々な認知症の話、認知症の方への対応、支援等について述べていきます。